街の日常

先日、朝早くのこと、ニタァとした笑顔でラブホの前にたたずむゲンコツメンチみたいな女を見た。一体なにが柳原可奈子によく似た彼女をそんな下劣な顔にさせたのだろうか。殊のほか満足して、チェックアウトしてなお思い出してしまうほどのすごい夜だったのだろうか。すんごいぶっといマシーンとか使って。それとも、朝になっても寝ている男を起こさないようそっと支度をして、大きな鏡に口紅で『I LOVE YOU』とでも書きなぐったのだろうか。この場合、彼女がもしイエモン好きならシンパシーを感じる。険しい顔をして自転車を漕ぐ半裸のじじいや携帯で話してばかりいる風俗嬢風の女、路駐している高級セダンと道のど真ん中でタバコを吸って一点を凝視しているキレ系キチガイなど、大阪ならではの混沌とした繁華街の風景のただ中に、昨夜の情事を思い出してニタァとしているゲンコツメンチだけがいっそうカオスを加速させていた。

ぼくは新幹線で必ず通路側の席を取る主義だ。タバコが吸いたくなったりおしっこに行きたくなったりなどした時の、スイマセーン!!アッ、アッ、スマセーン!!というあれがとても嫌なのだ。それだけで済めばまだいい。通路側に座っている人が極端なデブだったり、ずーっとテーブルを使ってめしを食ったりビールを飲んだりしている場合、小心者のぼくはスイマセン、アッ、アーッ、スイマセン!!となる。最悪なのは、テーブルを使いつつ音楽を聴きながら寝てしまうデブ男。スイマセンどころではない。言ったところで当人には届かない。そこには言葉では伝わらない、何かがある。それは怒りである。スマセーン...という気を遣いながらの声がけから、徐々にボリュームをあげて行き、それでもだめな場合肩をトントンしたりするわけなのだが、本当の窮地になれば跨いで通るしかない。だがちんちくりんのおっさんであるぼくには、難しい。そうなれば歌舞伎である。見得を切るのである。トットットと口に出しながら通路に踊り出るわけである。つまりここには2種類の怒りが存在している。一つ目はテーブルを元に戻さなかったデブに対して。二つ目は脚の短い自分自身に対して。あなたが通路に出ようとした時、C席で靴をハの時に曲げて足を引く男がいたら、それはぼくであり、ぼくのような人間です。歌舞伎で思い出したが、コンビニで買える大判歌舞伎揚げはとてもおいしいのでぜひ食べて頂きたい。一枚50円(税抜き)と記憶している。

この前20年ぶりくらいに阪急電車というものに乗ったが、具合の良い乗車環境であったことを報告しておかなくてはならない。何より客層がいい。中流を絵に描いたような顔の男女がずらりと並ぶ風景は圧巻である。思い思いの休日を楽しむため、これに乗ってあの人たちは梅田あたりに繰り出す。西宮北口駅などは、神戸方面の女としか形容の出来ない、あっち方面の量産型女子の巣窟であった。ざっと50人くらいの通勤OL風の女たちが腕を「く」の字に60度くらいに曲げてバッグを持つ姿は滑稽でもあった。ただ一定数、おかしな人たちもいるものだ。『そんなもん、グーグル翻訳したらええんや、グーグル翻訳』と連呼しているおっさんと素直に従わない若い女。これは日本エレキテル連合を連想させた。また、パワー系キチガイのような表情で新聞を凝視している、あまりにもシャクレたオバハンとその新聞を横から覗き込む専業主婦風のオバハンには女社会の縮図を見たような気がした。

こんなしょうもないブログを書いているにも関わらず、クリエイティブな仕事をしているぼくはある平日一人びっくりドンキーでずーっと己のインスピレーションが湧き上がるのを待っていた。思考の水中クンバカである。かたわらにはカフェオンザロック。これを飲み干すまでに悟りのイニシエーションを得なければならない。太宰治流に言えば、『臥竜。おれは、考えることをしている。ひるあんどん。面壁九年。さらに想を練り、案を構え。雌伏。賢者のまさに動かんとするや、必ず愚色あり。熟慮。潔癖。凝り性。おれの苦しさ、わからんかね。』というところである。つまりサボっていた。隣の席に幼女を連れた家族風の一行が座っている。ほどなくして幼女がぼくのほうを見つめて『ねーそれジューシュ?ねー。ねーそれジューシュ?ねー!ねーーーーー!』と尋ねてきた。ぼくは真顔かつ無音で『コーヒー。コーヒー。』と答えた。まわりから見れば口が動いているだけであるし、何より変態に間違われないか心配でならないぼくは『これ以上君に関わると、おじさんはペドフィリアに間違われて人生台無しになるからマジで大人しくしてね』というようなことを目で語りかけた。不思議そうに見つめてくる幼女にコクリと首をタテに振って大人の威厳で押し切る。その間、幼女の母親は、男に対してしきりに謝罪と御礼を述べ、誰宛なのか歓喜の電話をその場でし始めた。男の自己顕示欲が満たされた表情。明らかに家族ではない関係性と尋常ではない様子が窺え、他人とはいえ幼女の行く末を案じた。だいたい喫煙席に小さな子供を連れてくる大人にろくなやつはいない。もしあと10年経ってグレるくらいなら、趣味はカフェめぐりとK-POP、夏っぽいことがしたいしHAPPYな恋もしたいアホな女になっていて欲しいと思った。




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by ahoi1999 | 2014-09-03 01:46 | 生活 | Comments(0)


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